坂口謹一郎と云う終戦頃に活躍なさった、東大の名誉教授がいました。
醸造学が専門ですが、我々一般人には、その業績内容はよく知られていません。
ただ一般向けの書籍で『世界の酒』、『日本の酒』という本を著しています。
『世界の酒』は、終戦間もなく一般人が簡単に海外にいけない時代に、ヨーロッパの各国を回りワイナリーなどの話を紀行文としていて大変気軽に読める面白い本でした。
きっと今読むと、時代考証にもなり意義深いと思います。
それに対して『日本の酒』は、博士の専門の醸造の話。清酒の醸造技術の解説を一般向けに書かれていたと思います。清酒の製造に興味のない人には、面白くないかもしれません。
その坂口博士が、昭和48年にドイツで行われた、利き酒大会に『越乃寒梅』とこの『西の関』を日本代表に推したのです。
結果は、高い評価を彼の地で上げたと云うことです。
ところで私は『西の関』の昭和52年(1977年)11月2日製造のものを翌年初めに飲んでいます。
今から大体30年前です。
その当時から純米酒を探して飲んでいたのですが、『西の関』は市販酒では純米酒がなく、しょうがなくアルコール添加の特級酒を購入しました。
飲んでの感想は、米の旨味・コクがあり濃厚な力強い感じでした。
そして今回、念願の『西の関・純米酒』を飲みました。
感想
口に含んだ一瞬に30年前と同じ味を継承しているのにビックリした。
『
越乃寒梅』や『
八重垣』ではなかった自分の味をきっちり守っている。
上記二品は、30年も経つとかなり違う味になっていた。
当然、蔵も代われば、醗酵タンクも代わる。杜氏だって違うはず。
味が変わって当然。
清酒を飲む我々の食生活だって全然違う。
料理に合わせてお酒の味が変わらなくては、取り残される可能性が大きい。
この純米酒は、フィルターが軽いのかタップリの米のエキス分。
「甘い」と「旨い」の混ぜ合わせみたい。
精米歩合60%以下だが、感じは65~70%イメージ。
酵母の香味が生きている。
麹由来の甘さがある。
野太いと云う感じがよく分かる。
これが九州の濃い血と云うのだろう(実は私の祖父・祖母は鹿児島出身)
妻も一口だけ味見をして、料理をしながら暫らく経って「美味しい酒だなぁー」と独り言をいう。
ワイルドなnatural
今風に迎合しない肝の据わった酒
かつて『能代・純米酒』でも同じような経験をした
そのラベルには「縄文」の文字も書かれていた
西の関・純米酒
1.8L 2,534円
(文字数1,000強)
お勧め日本酒へ行く
お奨めページへ行く トップページ